捭啓 四月一日の御手紙を捭見致しました。先日色々なよい品物をいただいて有難ふ御座います。忙しい事となまけて居る事で有平糖を食べて仕舞ったあとでも一言御祛を申上げませんでした。何卒ゆるして下さい。上海はいやな処になって居ます。昨年には雪が降らなかったし今年は一向あたたかくもなりません。龍華の桃の花はもう咲きましたがあそこに警備司令部が陣取って居ますから頗る殺風景な有様になって居るので逯びに行く人も少なかったらしい。若し上野に監獄を建てたら、いくら花見に熱心な人も御免を蒙むるのでしゃう。上京したあと增田一世からも手紙をもらひました。『中國文學』月報二吖に講演の予告が出て居ますから大に活躍して居る事と存じます。しかし文章のうれない事は宓に困ります。支那にも同じ事。今には何処でも文章の時代でないらしい。上海の幾人の所謂る「文學者」は魌魂をっても每月六十弗しかもらへません。大根か鰯らしい值段です。私は不相変かいて居ますが、印刷されない時が多い、馬鹿げたものなら、出版をゆるされるが自分もいやになって仕舞ふ、だから、今年は大抵翻訳をやって居ます。


魯迅 上 四月九日


山本夫人几下

[译文]

  拜启:四月一日惠函已拜读。日前承赐珍品多种,谢谢。因为忙而懒,有平糖都吃完了,却连一句感谢的话都没说过,实在要请原谅。上海变成讨厌的地方了,去年不曾下雪,今年迄未转暖。龙华的桃花虽已开,但警备司令部占据了那里,大杀风景,游人似乎也少了。倘在上野盖了监狱,即使再热衷于赏樱花的人,怕也不敢问津了罢。收到过增田一世到东京后的来信。《中国文学》月报第二号上已登出他讲演的预告,想来是大为活跃。然而文章卖不出去,也委实为难。在中国也如此。现在好像到处都不是文章的时代。上海的几个所谓“文学家”,出卖了灵魂,每月也只能拿到六十美元,似乎是萝卜或沙丁鱼的价钱。我仍在写作,但大多不能付印。无聊的东西倒允许出版,但自己都觉得讨厌。因此,今年大抵只做翻译工作。

鲁迅 上 四月九日


山本夫人几下
Previous

Table of Contents